HANA-BI

ケーブルでやっていたので、録画しながら久しぶりに見る。実はこの映画は劇場でも見ているのだが、良いものは何度見ても良い。

北野映画は「その男凶暴につき」以来見ていたが、この映画がいちばん良いと思う。「ソナチネ」もかなり好きだが、HANA-BIの方がずっと良い。どちらが賞かといえば、HANA-BIかな。やっぱり。

とにかく静かな映画だ。北野ブルーといわれる、青っぽい色調がよく言われるが、私はこのBGMの少なさが好きだ。久石音楽はもちろん一品なんだが、極力邪魔にならないように、時にはほとんど音が無い状態になるのが、けっこう心地よい緊張感がある。実際の人生にはBGMなんて無いのだ。ただ風の音や、波の音、都会の雑踏などがあるばかり。その孤独感がよく出ていて、良い。

極端にセリフの少ないところも、いろいろと考えさせて良い。とにかく何を考えているのかセリフで説明しない。最後も良い。2発の銃弾。「ちょっとだけ待ってくんないか」の答えに、元同僚が「だめだ」と言ったら、躊躇無く撃ったのだろうか。そんなことなど無いのだろう。生きていくことの寂しさと感動に満ち溢れた、やさしさに満ち溢れた良い映画だと思う。もっとたくさんの人がこの映画を見てくれたらと思う。