Web and Starship

3人ゲームが成り立つためには、1対2の関係がめまぐるしく移り変わる必要がある。そうでなければ、基本的には1対2の固定的な対決になり、実質的には1対1の対決になってしまう。ただし、完全なアブストラクトでこれをやってしまうと、結局誰も勝てないゲームになってしまいがちだ。同盟とか外交というルールがある戦略級ゲームでW&Sはどのようにこれを実現しているのか?

本ゲームは徹底的に非対称のゲームとすることで、この問題をクリアーしようとしている。まず勢力拡大の方法は大きく2つあり、A(ジャンプ)とB(ウェブ)があり、それぞれ一長一短である。3つの勢力は、Aのみ、Bのみ、AB両方としている。AB両方が優位かというと、技術成長力がこの勢力(テラン)にのみ設定され、序盤はABともに他の陣営えり遥かに制限されている(ジャンプ距離は、グインハイファールの10に対して2など)ただし、技術成長を究極までやれば、ABともにテランは他の勢力より高いレベルにまであげることができる。

地政学的にはどうか?テランを中心とし、他の2陣営が対している。国力的には、テランが最弱で、次はグインハイファール。(とはいえ、テランよりははるかに大きい)。そして、ペリーンとなる。ペリーンは防御に優れているが、勢力拡大は非常に遅いし、計画をすると数ターン後にそこに侵攻を開始できるが、侵攻の開始直後は非常にもろい(ウェブを取り付けられなければ実質なにもできない)グインハイファールは序盤の国力こそペリーンに負けているが、非常にすばやく侵攻することが可能である。ただし、防御力は非常に弱く、あまりやみくもに展開すると守りきれなくなる。できるだけ重要なところを抑えるべきで、その最たるところは、テランの母星たるソルである。ソルは最大の経済価値を持つ星(経済価値最大20.他の星系は最大で6)で、グインハイファール領とペリーン領のちょうど中間地点にあるため、そこを抑えることができれば後の展開は非常に楽になる。ただし、色々と問題がある。

テランの母星(といか、テランは最初ソルしかない)は、固有の何度でも自動復活する戦力がある。また、テランの部隊も最初から駐留している。そのため、他の星系に比べて攻め込むのは非常にリスキーだ。(戦闘ではサイコロを使うので、絶対的な計算はできない)また、ソルには特別ルールがあり、仮に占領しても、常に反乱部隊による決起の可能性がある。そのため、簡単にはどの陣営もソルの占領を行えない。このことが、弱小で、かつ両大陣営の中間点に位置するテランの保険となっている。又、敵の敵はは味方という考えからしても、攻め込もうとする陣営の反対陣営との同盟関係は結びやすくなってもいる。また、他の陣営は星系に進出しなければ経済発展はしないが、テランだけは何もしなくとも5%の経済発展が行われる。経済力=VPとなる本ゲームにおいて、何もしなくても勝利に近づけるのはそれだけで有利だ。

ペリーンは非常に防御的な陣営である。ウェブネットワークさえできてしまえば、瞬時に大部隊を移動することができる。艦隊の数にはユニット数で制限があるのだが、ウェブの数はユニット数による制限はない(全てのユニットを使い切って足りなくなれば、何かで代用してもよいことになっている)ただし、大きな問題もある。進出が他の陣営に比べて異常に遅いのと、進出するのがプロット式で、計画を何ターンも前から行わなければならないのである。他の陣営と違い亜光速移動しか持たないペリーンは、どこにウェブを置く為の探査船を送るかをプロットしておく。到着ターンにその星に何もいなければ、ウェブを置くことができるが、もし宇宙艦隊がいると計画自体が失敗しかねない。(探査船の撃墜判定がある。大艦隊がいると100%撃墜される)何ターンもかけたあげく失敗すると、さらに何ターンもかかってしまうのである。そういう意味で、非常に難しい陣営といえる。

このようなルール的な違いにより、2陣営は次々と同盟相手を変えたり、中立を保ちつつ宇宙の派遣を競い合うのである。