一刀斎夢録

一刀斎夢録 上 (文春文庫)

一刀斎夢録 下 (文春文庫)

読了。浅田二郎の幕末物は良い。というか、壬生義士伝が最高だったので、これも読んだのだが、これはこれでよい。
壬生義士伝と違って、一刀斎が西南戦争でどうなるかはあらかじめわかっているのだが、その最後の話がどうなるのかがわからないので、最後まで楽しく読める。
やはり浅田二郎は読ませる力があるなぁ。
まぁ、斎藤一の幕末から、西南戦争までの話を、近衛師団の中尉で夜な夜な本人から聞くという話で、昔話を聞いていくというのは壬生義士伝と同じスタイル。
壬生義士伝が主役の周りの人に聞いていき、主役が最後どうなったかが読者はわからないまま、そして時空を飛び越えて本人の一人称を交えながらというなかなか
凝った話で、よほどの力がなければわけがわからなくなりそうなところを浅田二郎の腕力で物にしたような傑作なのだが、こっちはもうちょっとシンプル。
基本的には話を聞くだけで進んでいく。でも、面白い。
冒頭に竜馬暗殺から始まって、何を落ちにするのだろうと思ったが、西南戦争の警視庁抜刀隊の話が最後。
よく出来ているし、面白い。これは傑作。