戦争のため犬たち

戦争の犬たち (上) (角川文庫)
戦争の犬たち (下) (角川文庫)

ようやく読了。もともとこの本が気になってフォーサイスを読み始めた気がするが、フォーサイスの有名三作(ジャッカルの日オデッサファイル、本作)の中ではいちばんピンとこなかった。

もし、この本を最初に読んでいたら恐らく他の本は読まなかったかもしれない。

というのも、フォーサイスの特徴は、淡々と準備を描く所にあるように思う。

ジャッカルの日はドゴール暗殺のための、殺し屋ジャッカルの準備の日々を。オデッサファイルは、ナチ支援組織へのジャーナリストの潜入のための準備の日々を。そして、本作は傭兵が作戦を決行するための準備の日々を描いている。前2作は、淡々とした準備の日は比較的少なめで、暗殺の日に向かって必死に追いかける警察と、ジャッカルの追跡が描かれるし、オデッサファイルは潜入以外にも色々と見せ場があり、潜入準備の部分は比較的少ない。

しかし、本作は特に冒険もない、準備が大作(これだけ上下巻)のほとんど部分を占め、いざ戦闘!となると、あっけなくかつ一方的に終わる。

ということで、戦争映画的なものを期待していると完全に裏切られる。

とはいえ、作戦準備ものとしては緻密で、現代における武器輸出というのがどういうものなのかをこと細かく描いている。しかし、この情報が意味があるのは、どういう人なんだろうという気もする。

ということで、意外とがっかりだった、本作だった。

これ、映画にして、面白くなるんだろうか。逆の意味で映画が気になってきた・・・