クトゥルフバイガスライトの単発物シナリオ『ヨークシャーの怪事件』を終えて感想を書いて見る。
ネタバレも一部あるのと、キーパー視点で書くので、プレイヤーの方でこれからやる人は注意してください(今更やる人は少ないかもしれないが)
事件物、ミステリーもののクトゥルフのシナリオはたくさんあるのだが、これほど通常のミステリーものに近いものも珍しい。そこには魔物の陰謀ではなく、生身の人間の陰謀が蠢いている。
であるがゆえにけっこうプレイが難しい。プレイヤーが普通のクトゥルフものだと思うと、事件ものそのもの解決よりもオカルト的な陰謀の邪魔に走りがちで、まともに事件を解決しなくなる。逆にミステリーに走りすぎると謎を解くことに専念しすぎて、全てのプロットがミステリー的な意味があるものと思って、行動しすぎる可能性がある。ここはバランスが難しい。
事前知識としてモーリアティ一派の事を知らないとこのシナリオを十分に楽しめないのだが、それを事前に言いすぎるとネタバレになる可能性がある。そういう意味も兼ねて、事前にプレイヤーに推奨するホームズ作品としては、最後の事件と、空き家の事件は必須としても、バスカビル家の犬とギリシャ語通訳が妥当か。ギリシャ語通訳はちょっとだけ事件の名前が出るのに加えて、数少ないマイクロフトが出てくる作品であること、バスカビル家は田舎の屋敷にでの怪異に関わる事件なので、マイクロフト屋敷と、その周りのイメージが湧きやすくなるので良いだろう。先の二つだけだと、モーリアティをぷshしすぎることに対する目隠しにもなると思う。
キーパーとして難しいのはスターク以外に目を向けさせることで、グレーブスとジェバース、フーバー夫人には色々と設定や罠があるのだが、シナリオのままだとちょっと弱い。独自に色々と付け足したほうが良いだろう。特にグレーブスは色々と重要。
キャラの掘り下げで大事なのは何と言ってもルシンダなのだが、彼女の掘り下げはけっこう難しい。シナリオ書いてある設定だけだとイマイチ掴みにくいし、状況を考えると、その明るい設定は演じにくい。いっそ明るいという設定は無くしたほうがよかったかもしれない。エピソード的に難しいのは、北のドルイドことイヴァン老人で、彼のエピソードをどう組み込めば良いのかはずっと悩む。いっそ完全に無視してもいいと思う。いないならいないで、なんとかなる。
ワトソンは事前に準備しておかないと失敗する。今回は一応考えてはいたが、自分としてはイマイチな登場だった。もっと面白いキャラにできたはず。長門裕之の声が欲しいw
意外とSANを失うのも予想外だった。特にラスボス登場はかなり下手をすると脱落者が出てしまう。特に巨大化したタイミングで脱落しても、もう変えのキャラを登場させるタイミンががないので、あとは見ているだけになってしまうのが加減が難しい。
前半はなんとなくやっていても大丈夫なのだが、第二の殺人が起きてからはちゃんとタイムテーブルを作っておかないと破綻しかねない。今回は実に良い感じでそのあたりを走り抜けられたと思う。
新しい版では治っているのかもしれないが、色々とあいまいな点も注意が必要。特にフィッシュバインの死亡場所がなんとなく記述がおかしい。
色々書いたが、単発シナリオとしては最高に面白いのは間違いない。